民法の基本は契約と所有権

初めて、民法を勉強する方にとって、大切なことは、民法の全体像を掴むことです。今日は、簡単に民法の全体像を紹介します。
民法は、全部で、1044条まであるわけですが、大きく分けると以下のような構成になっています。

1、民法総則
2、物権法→占有権、所有権、制限物権、担保物権 
3、債権法→契約、事務管理、不当利得、不法行為
4、親族法
5、相続法

民法総則には民法全体に通用する基本的な条文が定められています。
たとえば、以下のような条文があります。

(基本原則)
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

職場のスローガンみたいな抽象的な文言ですよね。民法総則には、このような抽象的な条文が掲載されているわけで、初めて勉強する方にとっては、退屈な話だと思ったり、理解できなくて、民法が嫌いになったりする原因になりやすいです。

民法総則を勉強する際に重要なことは、民法が想定している人間関係を理解しておくということです。

たとえば、以下のような人間関係を知っておくとわかりやすいでしょう。

甲→←乙  丙
↓  ↓
物a  物b

1、甲と乙という人がいて、それぞれ、自分の財産、a、bを所有しています。
2、甲乙は、それぞれ約束して、物a、bを交換しようとする。
3、一方、丙は、甲や乙もまたは、その財産に対して、侵害行為を行おうとするものである。

まず、「1、甲と乙という人がいて、それぞれ、自分の財産、a、bを所有しています。」について
物を所有しているという単純な関係ですのでわかりやすいと思います。ただ、所有しているといっても、占有権なのか、所有権なのか、そして、物に対しては、担保権が設定されていないのかどうかということを物権法で勉強することになります。

次に、「甲乙は、それぞれ約束して、物a、bを交換しようとする。」について
約束して交換するという関係は、簡単に言えば、契約関係ということです。契約関係については、お互いに権利と義務を負うということになるわけで、どのような権利や義務があるのかということを、債権法で勉強することになります。

最後に、「3、一方、丙は、甲や乙もまたは、その財産に対して、侵害行為を行おうとするものである。」
侵害行為が行われた場合には、どうするべきかということです。侵害行為とは、たとえば、物を盗むとか、壊したりすることですね。
前回説明したように、盗まれたから、警察に届け出るというのは、民法の話ではなくて、刑法の話になります。
民法では、物を取られたり、壊されたりする不法行為が行われた場合には、物を盗んだ人に返せと返還請求したり、壊した物を弁償しろと請求することができると定めています。

このような関係を理解しておけば、民法の勉強はかなり楽になります。
民法総則では、どのようなことを勉強するかというと、たとえば、甲という人が、未成年者だったら、契約の際どうしたらいいのとか、甲と乙の間の契約を代理人が行う場合はどうしたらいいのなどのように、上記の人間関係を前提とした上で、総合的に判断していくということになります。

これから、民法の勉強を始める方は、参考にしてください。

この記事の詳細は、ゼロニュース 民法の基本は契約と所有権でご覧ください。