契約は申込と承諾によって成立する

契約というのは、どのようにして成立するのだろう。ということを今日は、分析していきたいと思います。

契約というのは、「申込の意思表示と承諾の意思表示が合致することで成立する。」と民法の基本書などには書かれています。

甲が所有する「「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)」を乙が買おうとしている場合。
乙の買いますという申込の意思表示に対して、甲がいいですよという承諾の意思表示をすることで、売買契約が成立するということです。

日常生活の中では、契約の申込と承諾の意思表示というふうに厳格に意識はしていないかもしれませんが、物を買うときは必ず、申込と承諾の意思表示があって、売買契約が成立していくことになるわけです。

もう少し考えて見ましょう。
たとえば、乙が、「「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)」を200円で売ってくれといったのに対して、甲はいやだめだ、定価でなければ売らないと応じた。乙はそれなら仕方ない、定価で買おうと意思表示した。

この場合、申込はどれに当たるのでしょうか。
最初の200円で買うという乙の申込の意思表示に対して、甲は定価でなければ売らないとしていったん拒絶しています。甲と乙の意思表示は合致しておらず、この時点では、売買契約は成立していません。
一方、甲は、定価なら売るという意思表示をしていて、それに対して、乙はそれなら定価で買おうと応じています。
ということは、甲は、申込の拒絶とともに、定価なら売るという新たな申込をしていると見ることができます。それに対して、乙がそれなら定価で買おうと承諾していると見ることができるわけです。
つまり、甲の、定価なら売るという意思表示が申込に当たるということです。

民法でも、このような事態が起こることを想定しており、甲が行ったような申込に変更を加えた承諾を乙の申込に対する承諾の拒絶とともに新たな申込をしたものとみなしています。(民法528条)

※参考条文(申込みに変更を加えた承諾)
第528条 承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。

また、申込の意思表示や承諾の意思表示は、何も、口頭で「買います」「売ります」という意思表示をしなくても成立します。
たとえば、私たちが、日常、スーパーで買い物をする場合、いちいち、これをください。はい、売りますよというような掛け声はしませんよね。
陳列棚から、商品を取ってきて、レジに出すだけです。
スーパーの場合は、商品を陳列棚においておくこと自体が申込と見ることができます。それに対して、私たちが、商品を選んで、レジのところに持っていくことで、承諾という暗黙の行動を取っていると見ることができるわけです。

では、以下のように、広告をべたっと張ってある。これは売買契約で言えば、何に当たるのでしょうか。



これは、売買契約でいえば、申込にあたることになります。
通常、アマゾンは、商品を売らないと拒絶することはありませんし、お客様が注文すれば迅速に商品を届けてくれます。
ですから、アマゾンは、サイト上に商品を陳列することで常に申込をしているわけで、それに対して、私たちがこの商品を買おうと承諾することで、売買契約が成立していくことになります。
もちろん、お金の支払いや商品の発送は、時間的にずれることになりますが、契約の履行時期の問題であって、売買契約自体は、カートに入れて、注文を確定した時点で成立するということです。

この記事の詳細は、ゼロニュース 契約は申込と承諾によって成立するでご覧ください。